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世界はあなたのコレクション

出掛けた場所で見たこと・読んだもの・考えたことを、いつか誰かと共有するために。

空白のある生

天気予報は雨が降るぞと脅迫していて、実際に空はどんより曇っていて、時折りさらさらと蜘蛛の糸みたいな雨が中空を流れてゆくようでしたから、ぼくは新宿御苑に行きませんでした。

代わりに自宅で『マダム・キュリーと朝食を』を読んで過ごしました。

新宿御苑にはたぶん土曜日に行くことになるはずですが、でも毎週通うという自分の規律を破ることは、本当はそんなに悪いことではないかもしれません。なるほど一度規則を破ればなし崩し的に破り続け、通うのがひどく億劫になってしまうかもしれないとはいえ、それでもやはり休息を入れるのは必要でさえあるかもしれないという思いが脳裏をかすめるのです。

こういうことを、ぼくはいつも「空白を作る」と言っています。「余白を作る」でもいいかもしれません。

家の中に家具を配置するとき、タンスはそこ、テレビはあそこ、ここに机を置いて、カーペットはあっち、本棚はこちらでベッドもこっち、というふうに采配していったら、その家は生活するのに極めて機能的で効果的になり、もしかしたら美的にだってなるかもしれません。全ての物に役割を与えれば人は快適に暮らせるようになるでしょう。

けれどもぼくは、無用の物を置きたい。あるいは無用の空間を作りたい。それがぼくの言う「空白を作る」あるいは「余白を作る」ということです。いま思い付いたことですが、「遊ぶ」でもいいかもしれません。

機能とか役割とか意味とかいうものに縛られた生活の縄をほどいてやりたい、とよく思います。

こんなふうにして、ぼくの人生に空白が滲むように広がってゆきます、ところどころ、幾層にもわたり。