世界はあなたのコレクション

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夢の副作用

72時間が嵐のように過ぎ去りました。

夢のように楽しかったです。

不幸せな体験が続いている人は、たまに訪れる幸せを恐ろしいと言いますが、別に不幸でも幸福でもないぼくもまた、そんな気持ちでいます。ちょっと怖い。

でも、不幸が幸福の仮面を被って訪れるのが本当だとしても、それはあざなえる縄のように順繰りにやって来るからそうなのではなく、少なくともぼくにとっては、それは少し違う意味合いを持っています。

楽しいことを体験して嬉しい気持ちが一段落すると、ふとした瞬間に(例えば翌朝の微睡みの中で)、「これから訪れる不幸」ではなく、「これまで訪れてきた不幸」が思い出されてしまうのです。これまでに幾度となくぼくという戸を叩き、ときに体を滑り込ませ、ときに土足で闖入してきた辛い体験、苦しい気持ち、孤独な不安。それらは必ずしも当時それと認識されていたわけではなく、いま幸せな気持ちになることで、それが不幸せな気持ちだったと直感的に閃くのです。

こうしてぼくは不幸せを二重に、最初は体験として経験し、次は認知として経験することになります。

だからぼくは幸せがちょっと怖くて、過去の自分を否定するほどの喜びに不安を覚えるのです。

それでもやっぱりぼくは楽しいことが好きで、何か凄いものに圧倒されたいし、素敵なものに心奪われたい。好きなものを好きでいたいし、新しく好きなものを作りたいし、好きな気持ちを広げたい、高めたい、深めたい。それはちょっと怖いことなんだけれども、でも求め続けたいと思う。

文フリは、とても楽しかったです。辛さは、なに、夢の副作用みたいなものです。