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世界はあなたのコレクション

出掛けた場所で見たこと・読んだもの・考えたことを、いつか誰かと共有するために。

一緒にエペペしちゃおうYO!~海外文学読書案内100+10選~

フリジェシュとフェレンツの区別を付けようとする前に、まずフーケーとフーコーの区別くらいは付けとこうぜ、子豚ちゃんYO!と思ってしまう今のぼくは、読書案内をする際も、順路通りに人を連れて古典的名作についてだけ当たり障りのない解説をして済ませてしまいたくなるわけですが、でもほんの5年くらい前までのぼくはもうちょびっと尖がっていて、一緒にエペペしちゃおうYO!って、まだ右も左も分からない子猫ちゃんを環七に放していたりしていたわけで、それを思い返せばぼくもすっかり丸くなったなあと、胸を過るのはどこか切ない感慨。

ところでエペペするっていうのは、下のブログでよく使われている表現で、ぼくが勝手に借用しているわけなのですが、この言葉はそもそもカリンティ・フェレンツというハンガリーの作家の小説『エペペ』が基になっているっていうことは押さえておきたい話。で、最初に名前を挙げたカリンティ・フリジェシュはフェレンツの父親、この二人を混同している人がときどきいるから注意しようYOって言う前にサ、フーケーとフーコーくらいは読んどこうYOってお節介を焼いてしまうぼくの話をしたわけサ。


キリキリソテーにうってつけの日

 

でもね、いっそのこと、「エペペしちゃっても、いいんじゃないッ?」って開き直りまして、これから色んな本を読みたいYO!っていう人たちに、エペペを恐れずに読書案内したいと思った次第。

本来このブログは新宿御苑での随想をとりとめもなく書き綴る、至極まったりした場所なのですが、今日は特別にエペペしちゃおうYO!

というわけで(前置き長くてごめんね)、

一生の間に読んでおきたい海外文学100+10選

やります。

 

~「古典中の古典」~(★印はエペペ率高し)

1.ホメロスイリアス』★

2.ダンテ『神曲』★

3.ミルトン『失楽園』★

4.セルバンテスドン・キホーテ』★

5.シェイクスピアハムレット

6.ゲーテファウスト

7.アベ・プレヴォー『マノン・レスコー

8.エドモン・ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック

9.ボーマルシェフィガロの結婚

10.フローベール『感情教育』

11.オースティン『高慢と偏見

12.イプセン『人形の家』

13.ドストエフスキーカラマーゾフの兄弟』★

14.レフ・トルストイアンナ・カレーニナ

15.チェーホフ『三人姉妹』

16.ガルシア・ロルカ『血の婚礼』

17.魯迅阿Q正伝

18.トーマス・マン魔の山』★

 [簡単な解説: いきなり人に『神曲』なんかを薦めてしまう人は、スモーキーフレイバーの強いウィスキーを大正時代の日本人に薦めてしまうタイプの人だと思いますね、実際。楽しく読める人もいますが、百科事典を読んでいる気になってしまう可能性もあります。シェイクスピアの中から一作を選ぶとすると、この種のセレクションでは大抵『ソネット集』が挙げられるものと相場が決まっているのですが、あえて素人臭く『ハムレット』にしてみました。7~9番は、教科書とかにも載っているレベルで、尚且つけっこう面白いので今回は入れてみました。16番は、今考えると入れなくてもよかった気がしますが、スペイン文学が少ないので、まあ調整弁ですね。]

~「14歳から114歳まで楽しめる」~(☆印はエペペ率やや高し)

19.サン=テグジュペリ『夜間飛行』☆

20.マーク・トウェイントム・ソーヤの冒険

21.フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』

22.シュペルヴィエル『海に住む少女』

23.メアリー・シェリー『フランケンシュタイン

24.カレル・チャペック『ロボット(R.U.R)』

25.ゴールディング蝿の王

26.カルヴィーノ『不在の騎士』☆

 [今回のセレクションでぼくの色が一番出ているのはこのコーナーですかね。サン=テグジュペリは何と言っても『星の王子さま』が有名ですが、この『夜間飛行』(新潮文庫には「南方郵便機」も収載されています)や『人間の土地』は素晴らしいので是非読んでいただきたいです。堀口大学訳は名訳とはいえ確かに古めかしさはあるので、ぼくは新訳を期待しています。21番はねえ、素敵ですね。『ハウルの動く城』が好きならイチコロですね。23番は割と引き合いに出されることが多いので入れときました。実際おもしろい。カルヴィーノは好き嫌い分かれますが、『不在の騎士』は読みやすい部類です。]

~「そろそろエペペしちゃいそう…」~

27.テネシー・ウィリアムズ欲望という名の電車

28.ミハイル・ブルガーコフ巨匠とマルガリータ

29.イスマイル・カダレ『誰がドルンチナを連れ戻したか』

30.ガルシア・マルケス百年の孤独

31.ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』

32.ポオ『ポオ小説全集』

33.ボードレール悪の華

34.ウンベルト・エーコ薔薇の名前

35.ユルスナール『東方奇譚』

36.マイリンク『ゴーレム』

37.ホフマン『牡猫ムルの人生観』

38.ディドロ『ラモーの甥』

39.モラヴィア『倦怠』

40.グラス『ブリキの太鼓

41.エミリ・ブロンテ『嵐が丘

42.フィリップ・K・ディック『高い城の男』

43.カザンザキス『その男ゾルバ』

44.蒲松齢『聊斎志異

45.パヴェーゼ『美しい夏』

46.ラーゲルクヴィスト『バラバ』

47.スタインベック怒りの葡萄

48.ジョージ・オーウェル『1984年』

49.ケルアック『オン・ザ・ロード

50.ヘッセ『ガラス玉演戯』

51.シュウォッブ『少年十字軍』

52.サマセット・モーム『剃刀の刃』

53.カゾット『悪魔の恋』

54.ヤセンスキー『主犯』

 [そろそろ厄介な作品が多くなってきましたが、そのぶん魅力も大きいです。29番は日本ではそれほど知名度ありませんが、世界的には超が付くほど有名です。ポオは一作を選びきれなかったので、全集にしてしまいました。『嵐が丘』をドストエフスキーの小説と比較する人がいますが、それほど激しい物語だということです。46番は実は未読なのですが、熱烈にこの作品を推す友だちがいて、ぼくはその人の言うことを信頼しているので、ここに入れました。50番と52番はマイナーな作品だと思われるかもしれませんが、こういうセレクションをすると名前が挙がるんですよね。カゾットは幻想文学の世界で非常に有名で、ノディエと迷いましたが、比較的知られていないと思われるこちらを列に加えました。]

~「いよいよエペペしちゃいそう!」~

55.パヴィチ『ハザール事典』

56.アンジェイェフスキ『天国の門

57.ソローキン『ロマン』

58.ナボコフ『青白い炎』

59.スターン『トリストラム・シャンディ』

60.ロートレアモン『マルドロールの歌』

61.レーモン・ルーセル『アフリカの印象』

62.ボルヘス『伝奇集』

63.フォークナー『響きと怒り』

64.カフカ『審判』

65.リルケ『オルフォイスへのソネット

66.タゴール『家と世界』

67.パステルナーク『ドクトル・ジバゴ

68.トム・ストッパード『コースト・オブ・ユートピア

69.タブッキ『ベアト・アンジェリコの翼あるもの』

70.パスカルキニャール『辺境の館』

71.アリオスト『狂えるオルランド』

72.ウォルポール『オトラント城奇譚』

 [『天国の門』はそろそろ読まれていいですね、ぼくはもう何度も何度もこの作品が素晴らしいってことを色んなところで書いていますが、誰も読みゃしない。目の前に金脈が埋まっていることに気付こうとしない。激おこなんだからねっ! 59番はとても有名な小説で、意識の流れとか脱線とか<図表>(ここでは文字以外のものと考えて下さい)の挿入とか、20世紀以降に表面化した手法の多くは遡ればここに行き着くと言われます(あ、ちょっといい加減な放言だったかな)。そして重要な点は、読んでいて楽しいこと。ちなみにゴーゴリの『外套』のモチーフはたぶんこの小説ですね。ルーセルはこのコーナーに入れてしまったか、次の「爆ぜろリアル!」にすべきでした。独特の「手法」を用いて創作を行った人で、言語実験の革新者です、ざっくり言うと。]

~「爆ぜろリアル! エペペしちゃいなYO!」~

73.ドノソ『夜のみだらな鳥』

74.コルタサル『石蹴り遊び』

75.ゴンブローヴィチ『フェルディドゥルケ』

76.バロウズ裸のランチ

77.セリーヌ『夜の果てへの旅』

78.バルガス・リョサ『緑の家』

79.ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』

80.パウル・ツェランパウル・ツェラン全詩集』

81.ペソアポルトガルの海――フェルナンド・ペソア詩選』

82.エメ・セゼール『帰郷ノート/植民地主義論』

83.ベケットゴドーを待ちながら

84.イヨネスコ『禿の女歌手』

85.ユイスマンス『さかしま』

86.エステルハージ・ペーテル『黄金のブダペスト

87.クロード・シモンフランドルへの道』

88.ビュトール『時間割』

89.イタロ・ズヴェーヴォ『ゼーノの苦悶』

90.アルフレッド・ジャリ『ユビュ王』

91.『マハーバーラタ

92.ムージル『特性のない男』

93.ジョルジュ・ペレック『人生使用法』

94.ジョイス『フィネガンズ・ウェイク

95.プルースト失われた時を求めて

96.ロレンス・ダレルアレキサンドリア四重奏』

97.マラルメ『骰子一擲』

98.ルイス・キャロル『スナーク狩り』

99.レーモン・クノー『文体練習』

100.スタニスワフ・レム『完全な真空』

 [『石蹴り遊び』はやばいですよ。凄い小説ですが、眠くなりましたぼくは。ベケットとイヨネスコは不条理文学の旗手で、イヨネスコの方が割と読みやすいですね。イヨネスコだったら『犀』と書くべきかもしれませんが、『禿の女歌手』というのはそのタイトル含めてやっぱり不条理文学の伝説ですから、ぼくはこちらを推したい! でも結局同じ本に収録されていたりして…? エステルハージ・ペーテルは現代ハンガリー文学を代表する作家です。ポストモダン的っていうとっても便利で(いい加減な)形容詞を被されることが多くて、物語の常識を覆すような、新規性のあるものを書いていますね。ズヴェーヴォは日本で知名度あんまりないですが、海外では色んな芸術家に影響を与えているみたいですね。ウィリアム・ケントリッジとか。91~96番は、見事に未読です。なぜか。長いからです。それでもこういうリストに加えなければならないさだめの作品。]

~「エペペしないか?」~(エペペした上にフィネガンズしちゃいそうな本には♪印付けました)

次に挙げるのは、いわゆる「文学作品」ではなく、「評論」のカテゴリーに入れられるべきものです。広い意味で文学を扱っているものの中から、超重要な本(+凄い!とぼくが感心している本)を厳選しました。

101.アリストテレス詩学

102.アウエルバッハ『ミメーシス』

103.バフチンドストエフスキー詩学

104.ロラン・バルト『物語の構造分析』♪

105.テリー・イーグルトン『文学とは何か』

106.トドロフ幻想文学論序説』

107.オクタビオ・パス『弓と竪琴』

108.ダムロッシュ『世界文学とは何か』

109.ラクー=ラバルト『近代人の模倣』

110.ブランショ『来るべき書物』♪

[『物語の構造分析』には、かの有名な「作者の死」という論考が収められています。ちょっと意外だなと思われると思われるのは、たぶん109番でしょう。既にアウエルバッハの『ミメーシス』を挙げている以上、ここで再びミメーシス概念を再検討した本を出す必要はないですから。だからブルームの『影響の不安』と迷ったのです。でも、個人的にこのラクー=ラバルトの本には思い入れがあって、実際よい本ですし、こっちにしてしまいました。あとは割と王道ですかね。『弓と竪琴』はそうでもないですか? でもこれは凄まじい本です。これをよりよく理解できる人になりたいし、そんな人でありたい。]

おしまいだYO!