世界はあなたのコレクション

出掛けた場所で見たこと・読んだもの・考えたことを、いつか誰かと共有するために。

2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

空白のある生

天気予報は雨が降るぞと脅迫していて、実際に空はどんより曇っていて、時折りさらさらと蜘蛛の糸みたいな雨が中空を流れてゆくようでしたから、ぼくは新宿御苑に行きませんでした。 代わりに自宅で『マダム・キュリーと朝食を』を読んで過ごしました。 新宿…

炎暑の記憶

きのう(8月20日)新宿御苑に行って来たのですが、3回目にして既に面倒臭くなり始めました…。第一、暑過ぎる。35度の猛暑の最中に必須の用件もないのにたらたら出歩くのがめんどい。 けれども、この炎暑を記憶しよう、と思い定めて新宿まで出向き、サウナの…

黒の中の緑、たとえ

「世界の万物はメタファーだ。(…)僕らはメタファーという装置をとおしてアイロニーを受け入れる」(『海辺のカフカ』) 『海辺のカフカ』の登場人物(大島さん)は「世界の万物はメタファーだ」をゲーテの言葉だとしています。いまネットで少しばかり検索…

焦点と構図

(つづき) これまでぼくは写真を撮ったことがあまりなくて(ほとんどないと言ってもいいくらい)、どこかへ旅行に出かけたとしても、一枚も撮影しないまま帰宅することが珍しくありません(と言うよりそれが常態)。 それは写真に興味がないからでは決して…

大温室、小説の言葉

(つづき) 8月18日から約一ヶ月間、新宿御苑内にある「大温室」が閉鎖されるとのことなので、中を覗いてきました。 結論から言えば、想像していたより楽しめました。 第一に、展示されている(という表現に我ながら違和感があるものの)植物の巨大さに圧倒…

赤い花

今月2回目の新宿御苑に行って参りました。 前回に比べれば今日はそれほど暑くないためか(というより先週が暑過ぎた)、それとも今ちょうどお盆休みの時期だからか、いずれにしろ今日は人が多かったです。 レストランの中も先週より賑わっていましたが、幸い…

家のない人と猫、星の付く名前

(前回のつづき) 8月6日はとても暑い日でした。 けれどぼくが本を読んでいた休憩所には屋根があり、屋根は日射しを遮っていました。そして壁はないので時折り風が吹き抜けてゆきます。ページが捲られるのを防ぐために常に片手で本を押さえていなければなり…

似ているもの、喩えること

(前回のつづき) 板張りの床を這う蔦は、子どもが畳に寝そべっているみたいに見えました。 初めての物事に遭遇するとき、これはあれに似ていると思うことがあります。例えばAさんを紹介してもらったら、このAさんは小島よしおに似ているなと思ったりしま…

さんざめく葉叢、読むという経験

(前回のつづき) 落ち着いて本を読める場所を探して歩き回ったところ、広々とした休憩所が目の前に現れたので、そこの椅子に腰かけ、柴崎友香の『寝ても覚めても』という小説をバッグから取り出し、早速読み始めました。 しばらく読んだところで顔を上げ、…

柔らかい感じの文章、過ぎ去るところ

きのう新宿御苑に行ってきました。これから毎週通おうと思っていて、昨日が初日でした。8月6日。 なお瑣末なことですが、最初ぼくは「きのう」と書き、次いで「昨日」と書きました。これは変換ミスではなく、自分なりのちょっとした拘りです。漢字が何文字も…

はじめに

ぼくには長年続けていたブログがあったのですが、それが自分にとって不要になったので――というかそこで書き続けていくことに躊躇やちょっとした痛みを感じるようになったこともあり――そのブログは棄て、ここで新たに書き始めることにしました。 このブログを…